毎年10月に改定される最低賃金。
2026年度も引き上げが確実視されており、中小企業経営者にとって人件費の増加は避けられない現実として迫ってきています。

2026年2月27日に第72回中央最低賃金審議会が開催され、2026年度の改定に向けた議論が正式にスタートしました。
具体的な目安額は2026年7月頃に決定される見込みですが、現時点の予測では40〜50円台の引き上げが有力視されています。
2025年度の全国加重平均の引き上げ幅が66円(過去最大)だったことを踏まえると、それ以上の引き上げになる可能性も十分あります。

「確定してから考えれば良い」——そう思っている経営者こそ、注意が必要です。
最低賃金の引き上げは、単なる賃金の問題にとどまらず、中小企業の資金繰りに直接影響を与えます。

最低賃金引き上げが、なぜ資金繰りに影響するのか

最低賃金の引き上げが資金繰りを圧迫するルートは、主に3つあります。

① 人件費の直接増加

最低賃金が上がれば、該当する賃金帯のスタッフの時給を引き上げる必要があります。
パートやアルバイトを多く雇用する小売業・飲食業・介護業などは特に影響が大きく、月次の固定費が一気に膨らみます。

さらに見落としがちなのが「賃金の逆転現象」です。
たとえば、最低賃金が1,100円から1,200円に上がった場合、時給1,400円だった入社2年目の正社員との差は300円から200円に縮まります。
「責任が重いのに待遇がパートと変わらない」という不満が生じ、正社員の離職リスクが高まります。
公平性を保つために正社員の給与も引き上げると、人件費の増加は最低賃金引き上げ分をはるかに超えることになります。
中小企業にとっては、パートと正社員のダブルで人件費が膨らむ二重の負担です。

② 社会保険料負担の増加

給与が上がれば、それに連動して社会保険料の事業主負担も増加します。
人件費の増加分に対して、さらに約15%の社会保険料負担が上乗せされる計算です。
賃金引き上げの影響は、額面以上に膨らむことを忘れてはなりません。

③ 販売価格への転嫁の難しさ

人件費が増えても、すぐに販売価格に転嫁できるとは限りません。
特に競合が多い業種や、価格に敏感な消費者を相手にしている業種では、値上げに踏み切るまでに時間がかかります。
その間、コストだけが先行して利益率が下がり、手元の現金が削られていきます。

中小企業への影響は特に深刻

帝国データバンク「2026年度の賃金動向に関する企業の意識調査」(2026年2月24日発表)によれば、2026年度に賃金改善を見込む企業は63.5%と過去最高を更新しており、賃金改善の動きが広がっています。
しかし中小企業にとって、この流れへの対応は大企業と比べてはるかに厳しい状況です。

大企業であれば、生産性向上や業務効率化によって人件費増加分を吸収する余地があります。
一方、中小企業は既に人員が最小限で回っているケースが多く、コスト削減の余地が限られています。
売上が変わらないまま固定費だけが増えれば、たちまち資金繰りが悪化します。

特に以下の業種は影響が大きいと言えます。

資金繰りへの具体的な影響シナリオ

たとえばパート・アルバイトを20名雇用している小売店が、時給を50円引き上げた場合を試算してみましょう。

1人あたり月160時間勤務として、月額増加分は8,000円。20名では月16万円、年間192万円の人件費増加になります。
これに社会保険料の事業主負担増(約15%)を加えると、実質的な負担増は年間約220万円規模になります。

さらに正社員の給与も引き上げた場合、この数字はさらに大きく膨らみます。
「月に数万円の話だろう」と思っていた経営者が、年間ベースで計算して初めて深刻さに気づくケースは少なくありません。

今からできる3つの対策

制度が確定する前から、できる準備があります。

対策① 人件費シミュレーションをいま行う

引き上げ幅が40円・50円・60円の3パターンで、自社の人件費がどれだけ増えるかを今のうちに試算しておきましょう。
「最悪のケース」を想定しておくことで、確定後に慌てずに済みます。

対策② 価格転嫁の準備を早めに進める

人件費の増加分を販売価格に転嫁するには、取引先や顧客への説明・交渉が必要です。
10月の改定に合わせて値上げを実施するなら、遅くとも夏頃には準備を始める必要があります。

対策③ 資金繰りの余裕を今のうちに作る

人件費の増加は毎月の固定費に直撃します。
増加分が毎月確実に出ていく状況に備えて、手元資金に余裕を持たせておくことが重要です。

一時的な資金不足には、売掛債権買取サービスという選択肢

最低賃金引き上げのタイミングで生じる一時的な資金不足
たとえば「10月から人件費が増えるが、売上の入金は翌月・翌々月」というキャッシュフローのズレ——に対して、すでに発生している売掛金を早期に現金化できる売掛債権買取サービスは、有効な選択肢のひとつです。

融資と異なり返済義務がなく、審査では売掛先の支払い能力が重視されるため、急な資金需要にも迅速に対応できます。
人件費増加の波を乗り越えながら、事業を止めないための手段として活用する企業が増えています。

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「人件費が増えて月末の支払いが心配」「賃上げ対応で資金計画を見直したい」といったお悩みに、専門スタッフが丁寧にご対応します。
まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

2026年10月に向けて、最低賃金の引き上げは確実に進みます。
中小企業への影響は人件費の直接増加にとどまらず、社会保険料の負担増、価格転嫁の難しさも重なり、資金繰りへの影響は想定以上に大きくなる可能性があります。

確定を待ってから動くのではなく、今から備えておくことが、10月以降の経営を安定させる最善の準備です。
資金繰りに不安を感じたら、早めにREARTH TOKYO(リアース東京)へご相談ください。

注釈

本記事は2026年7月時点の情報に基づいています。
最低賃金の確定額は2026年7月下旬の目安答申後に更新予定です。
最新情報は厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

2023年10月に始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)から、間もなく3年が経ちます。
「もう制度には慣れた」と感じている経営者の方も多いかもしれませんが、本当の影響は2026年10月から本格化します。
これまで中小事業者の負担を和らげてきた経過措置や特例が、相次いで終了・縮小する時期に入るためです。
「知らなかった」では済まされない変化が迫っています。

何が変わるのか——2つの制度変更

2026年10月を境に変わる制度は、大きく2つあります。

① 「2割特例」の終了(売る側への影響)

インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者へ転換した事業者向けに、消費税の納税額を売上にかかる消費税額の2割に抑えられる「2割特例」という軽減措置が設けられていました。
この特例は2026年9月30日で終了します。
国税庁の公表によれば、2割特例の適用対象は「令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間」とされており、当初から期限付きの措置でした。

終了後は、個人事業主のみを対象とした2年間限定の「3割特例」(売上税額の3割を納税)への移行が予定されています。
一方、法人にはこの軽減措置はなく、本則課税または簡易課税のいずれかを選択する必要があります。
また、簡易課税を選ぶ場合は事前の届出が必要となるため、早めの判断が求められます。

② 仕入側の経過措置縮小(買う側への影響)

免税事業者からの仕入れについては、本来は仕入税額控除が認められませんが、急激な負担増を避けるための経過措置が設けられています。

当初の予定では、2026年10月から控除割合が80%から一気に50%へ引き下げられる予定でした。
しかし、事業者の負担を考慮し、2026年の制度改正でスケジュールが緩和されました。

最新の制度では、控除割合は次のように段階的に縮小します

期間
控除率
2023年10月〜2026年9月
80%
2026年10月〜2028年9月
70%
2028年10月〜2030年9月
50%
2030年10月〜2031年9月
30%
2031年10月〜
控除不可

2026年10月からは新設された「70%控除」へ移行し、その後も50%、30%と段階的に縮小し、最終的には控除自体ができなくなります。
緩和されたとはいえ、免税事業者と取引のある課税事業者にとって、長期的な負担増になることに変わりはありません。

資金繰りに何が起きるのか

「売る側」(免税事業者から転換した事業者)への影響

2割特例がなくなることで、これまでより多くの消費税を納める必要が出てきます。
消費税は基本的に「預かったお金」ですが、納税のタイミングまでに使い込んでしまっているケースも少なくありません。
納税資金を計画的に準備していないと、急な資金不足に直面するリスクがあります。

「買う側」(免税事業者と取引のある事業者)への影響

仕入税額控除の割合が80%から70%に下がり、その後も段階的に50%まで下がることで、これまでと同じ取引内容でも、納税額が確実に増加します。
これにより、免税事業者との取引そのものを見直す動きが企業間で広がる可能性があります。
免税事業者側からすれば、取引先から値下げを求められたり、最悪の場合は取引を打ち切られたりするリスクも現実的になってきます。

つまり、立場を問わず、多くの中小企業の手元資金が、これまでより圧迫されることになります。

今からできる対策

制度変更まで時間があるうちに、できる準備があります。

自社の立場を確認する

「売る側」(課税転換した事業者)なのか、「買う側」(免税事業者と取引がある事業者)なのか、まずは自社がどちらに該当するかを明確にしましょう。

納税資金を別管理する

消費税は赤字でも納税義務が発生することがあります。
運転資金と納税資金を分けて管理し、急な資金不足を避ける準備をしておくことが重要です。

取引先との対話を早めに行う

免税事業者との取引がある場合は、今後の取引条件について早めに話し合っておくことで、急な取引見直しによるトラブルを防げます。

制度変更による負担増に、どう備えるか

こうした制度変更によって、納税額が一時的に増える、あるいは取引条件の見直しでキャッシュフローが一時的に乱れるといった事態は、多くの中小企業にとって他人事ではありません。

特に個人事業主の場合、3月の確定申告直後に「所得税」と「消費税」のダブルの納税がやってきます。
法人の場合も、決算後2ヶ月以内に大きくなった消費税を現金で一括納付しなければなりません。
「黒字なのに手元に現金がない」「納税のために運転資金がショートする」という事態を防ぐために、売掛金の早期現金化を資金調達の選択肢に組み込んでおく企業が増えています。

そうした一時的な資金不足に対して、すでに発生している売掛金を早期に現金化できる売掛債権買取サービスは、有効な選択手段の一つです。

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まとめ

インボイス制度の「2026年問題」は、立場を問わず中小企業の資金繰りに影響を与える制度変更です。

制度変更まで時間があるうちに、自社の立場を確認し、納税資金を計画的に準備しておくことが何より重要です。
資金繰りに不安を感じたら、早めにREARTH TOKYO(リアース東京)へご相談ください。

注釈

法改正の審議状況によって、施行内容が変更される可能性もあります。
本記事は2026年6月時点の情報に基づいています。
最新の制度内容は、国税庁の公式サイトでご確認ください。

出典・参考リンク